ST32. 伏兎(ふくと)
所属する経脈
足の陽明胃経(ようめい いけい)
別名・別表記
別名:外勾
名前の由来
伏兎(ふくと)の『伏』は「伏せた」状態のこと、『兎』はそのまま「うさぎ」のことです。
このツボは太ももにあり、その部位に存在する大腿四頭筋の隆起した様子を兎(うさぎ)が伏せた状態に例えたことから、伏兎と名付けられました。
位置
大腿前外側、膝蓋骨底外端と上前腸骨棘を結ぶ線上、膝蓋骨底の上方6寸。
鼠径部の外側に、上前腸骨棘という骨の出っ張りがあります。
その骨の出っ張りと、膝蓋骨(ヒザの皿)の上部外端を結んだ線上、ヒザ側から上に6寸(1寸 = 手の親指の横幅の長さ)上がったところに伏兎はあります。
膝蓋骨の上部外端と上前腸骨棘を結ぶ線上には伏兎以外にもツボがいくつか存在していて、上前腸骨棘のすぐ下に髀関(ひかん)、伏兎の3寸下に陰市(いんし)、伏兎の4寸下に梁丘(りょうきゅう)があります。
主治・効能
整形外科領域の症状
股関節・太もも・膝の痛み、腰痛、下肢の麻痺
主に、足の陽明胃経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。
消化器系の症状
お腹の張り、腹痛
足の陽明胃経に所属することから、消化器系の症状にも効果があります。
その他
太もも・膝の冷え、浮腫(むくみ)、脚気(かっけ)
伏兎は脚気八処(かっけはっしょ)と呼ばれる8つのツボのうちの1つであり、脚気に効果があるとされています。
脚気八処…脚気の治療に用いられる8つのツボの総称。風市(ふうし)、伏兎(ふくと)、犢鼻(とくび)、外膝眼(がいしつがん)、足三里(あしさんり)、上巨虚(じょうこきょ)、下巨虚(げこきょ)、懸鐘(けんしょう)が含まれる。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 大腿直筋 → 中間広筋
関係する筋肉
- 大腿直筋
- 中間広筋
関係する動脈・静脈
- 外側大腿回旋動脈・静脈
関係する神経
- 大腿神経
- 外側大腿皮神経
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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