ST37. 上巨虚（じょうこきょ）

　 所属する経脈

足の陽明胃経（ようめい いけい）

　名前の由来

上巨虚（じょうこきょ）の『上』は「上方」、『巨』は「大きい」、『虚』は「すき間」を意味しています。

このツボは、脛骨と腓骨からなる大きなすき間の上方に位置していることから上巨虚と名付けられました。

なお、上巨虚の下方には、上巨虚と相対するツボとして下巨虚（げこきょ）があります。

　要穴

① 大腸の下合穴（しもごうけつ）

下合穴とは、六腑（胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦）が合する6つのツボのことを指しています。

6つのツボは六腑にそれぞれ対応しており、その腑に生じた病を治すのに用いられます。このうち、上巨虚は大腸に対応する下合穴です。

　位置

同じ足の陽明胃経上にある犢鼻（とくび）と解渓（かいけい）を結んだ線上で、犢鼻から6寸（1寸 ＝ 手の親指の横幅の長さ）下にいったところに上巨虚があります。

犢鼻と解渓を結んだ線上には他にも複数のツボが並んでいて、上巨虚の上方3寸に足三里（あしさんり）、下方2寸に条口（じょうこう）、下方3寸に下巨虚が位置しています。

　主治・効能

整形外科領域の症状

下肢の痛み・しびれ・麻痺、屈伸困難、腓骨神経麻痺

主に、足の陽明胃経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。

消化器系の症状

腹痛、腸炎、下痢、便秘、虫垂炎、食欲不振、消化不良

足の陽明胃経に所属することから、消化器系の症状にも効果があります。特に上巨虚は大腸の下合穴であることから、腸の諸症状によく使われます。

その他

脚気（かっけ）、浮腫（むくみ）

上巨虚は脚気八処（かっけはっしょ）と呼ばれる8つのツボのうちの1つであり、脚気に効果があるとされています。

　局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 前脛骨筋 → 下腿骨間膜 → 後脛骨筋

関係する筋肉

• 前脛骨筋
• 後脛骨筋

関係する動脈・静脈

• 前脛骨動・静脈

関係する神経

• 深腓骨神経
• 外側腓腹皮神経

　参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（1997）
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（2009）
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ～触ってわかる身体解剖～ / 医道の日本社 (2012)