苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
組成
乾姜(かんきょう)・茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・甘草(かんぞう)
効果
腰に冷えと痛みがあって、尿量が多い次の諸症:
腰痛、腰の冷え、夜尿症
効能
温中除湿
主治
腎著(寒湿停着肌肉):
身体が重だるい・腰や下肢が冷えて痛むなど(口渇・食欲低下・排尿異常はない)
方意
下焦が寒と湿におかされて、腰から下が冷えて重くかつ痛む方に用います。足腰の冷痛の他、全身倦怠感や、軽度の浮腫などを伴います。
診断のポイントは、腰と下肢の冷え・足腰の痛み・尿自利などです。
苓姜朮甘湯は苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)の桂枝(けいし)が乾姜に置き代わった処方です。苓桂朮甘湯は水毒が気と共に上衝したものであるのに対し、苓姜朮甘湯は寒飲が下半身に集中下降したものに対して用います。
辛熱の乾姜は温中散寒に働きます。健脾除湿の白朮・茯苓は運化をつよめて利水し、乾姜とともに寒湿を除去します。甘草は健脾和胃と諸薬の調和に働きます。
全体として裏を温め、利水をはかり、疼痛を緩和します。下焦に寒湿が停滞しているのを温めて取り除きます。臨床応用として、腰痛・坐骨神経痛・夜尿症などにも用いられます。
一般的な寒湿の病変では、脾陽が困阻されて食欲不振や下痢を呈したり、津液の布散が阻滞されて口渇があっても水分は欲しないという症状がみられたり、腎の気化不行による小便不利が生じることが多いです。これらの症候がないのは、水湿が肌肉にあることを示しています。腰は腎の外府であることから、金匱要略(きんきようりゃく)ではこの病態を「腎著の病」と表現しています。苓姜朮甘湯はこの「腎著の病」を治すため、別名「腎着湯(じんちゃくとう)」とも呼ばれます。ただし、苓姜朮甘湯は温中除湿の効能を持つため、一般的な寒湿にも有効です。肌肉の寒湿にこだわる必要はありません。
寒証がつよいときには附子(ぶし)・肉桂(にっけい)などを、湿証がつよければ五苓散(ごれいさん)などを加えます。
類方鑑別
真武湯(しんぶとう):
体力の低下した方で、冷え性・全身倦怠感などが一層顕著で、下痢・軽度の腹痛・めまいなどの症状を伴う場合に用います。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう):
比較的体力の低下した冷え性の方が、寒冷に伴い下腹部・腰部・四肢末端などの痛み、下痢・頭痛などを伴う場合に用います。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):
比較的体力の低下した方、特に女性で、冷え性・下腹部痛・月経異常のほか、腰痛・貧血傾向などが認められる場合に用います。
八味地黄丸(はちみじおうがん):
体力の低下した方、あるいは高齢者で、下半身の冷え・痛み・しびれなどは似ていますが、軽度の口渇があり、下腹部が上腹部に比べて明らかに緊張が弱い場合に用います。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):
水飲の症状はありますが、冷えはなく、めまい・動悸があります。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):
腰冷はありますが水太り・尿不利の症状があります。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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