蝉退(せんたい)

基原

セミ科Cicadidaeのクマゼミの仲間であるCryptotympana atrata Fabr.をはじめとする大型セミ類の羽化後の抜け殻

性味

甘、寒

帰経

肺・肝

効能・効果

①疏散風熱・利咽開音
②透湿止痒
③退翳明目
④祛風解痙

主な漢方薬

消風散(しょうふうさん)

特徴

日本の夏を象徴するものの一つであるセミですが、その抜け殻は生薬になります。セミの仲間は種類が多く、様々な種類の抜け殻が用いられてきました。日本ではアブラゼミ、クマゼミ、ヒグラシ、ニイニイゼミ、ミンミンゼミなどが一般的に見られますが、生薬としてはやや大型のアブラゼミやクマゼミの抜け殻が主に利用されてきました。一般的に6〜9月に樹上または地面にある抜け殻を収拾し、泥土を落とし、晒して乾燥します。

黄金色で透明、光沢があるものを「金蝉衣(きんせんい)」、灰褐色で光沢のないものを「土蝉衣(どせんい)」と呼びます。金蝉衣は痩身で尾部に尖鋭な針状突起があり、土蝉衣は成虫脱出孔が縦横十字に開裂し、口器が内屈しています。金蝉衣は土蝉衣よりも高級品として取り扱われています。

蝉退は別名で「蝉殻(せんかく)」「蝉蛻(せんぜい)」とも言い、「殻」「蛻」は抜け殻を意味します。他にも「蝉衣(ぜんい)」「蝉脱(せんだつ)」などの異名があります。

セミの幼虫にバッカクキン科の菌類が寄生して生じる「セミ茸」というものがあります。これを「蝉花(せんか)」と言い、蝉退の一種と見なされ生薬として利用されていました。和名ではキノコの仲間ということで名前に「茸」がついていますが、中国ではまるで蝉から花が咲くように伸びるので、「蝉花」と書きます。同じように虫に寄生する茸である冬虫夏草(とうちゅうかそう)と同じフユムシナツクサタケの仲間ですが、効能は蝉退と同じとされています。中国ではあまりセミ茸が見られず珍重されたようですが、日本ではニイニイゼミの幼虫につくセミタケが多く見られ、梅雨明けごろに地中の幼虫頭部から伸びた子実体を見ることができます。

「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の中品に「蚱蝉(さくせん)」の名前で分類されています。「名医別録(めいいべつろく)」には「蝉殻」の名前で収載されており、「小児の驚癇、産婦の子の下らぬものを治す。焼灰を水で服すれば久痢を治す」と記載されています。

光沢があり、黄色みのある茶褐色で、清潔で泥や砂が付着しておらず、全身が砕けずに形の整ったものが良品とされており、特に樹上にあったものは「木どまり」と称され重宝されます。一方、全身が赤く変色したものは劣るとされています。

辛涼の薬で冷まし、風熱の邪を体表から発散させる辛涼解表薬(しんりょうげひょうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に薄荷(はっか)、牛蒡子(ごぼうし)桑葉(そうよう)菊花(きくか)、蔓荊子(まんけいし)、柴胡(さいこ)葛根(かっこん)升麻(しょうま)などがあります。

外感風熱の発熱・咽痛・咳嗽などに、薄荷や連翹(れんぎょう)などと一緒に用いられます。風熱鬱肺・肺気失宣による嗄声・失声に、桔梗(ききょう)や胖大海(はんだいかい)などと一緒に使用されます。

麻疹の初期や透発が不十分なときに、薄荷や牛蒡子、葛根などと一緒に用いられます。蕁麻疹・湿疹など風熱や風湿熱による皮膚の瘙痒に用いられます。代表的な漢方薬に、荊芥(けいがい)や防風(ぼうふう)などと一緒に配合された消風散(しょうふうさん)があります。

風熱による目の充血・角膜混濁などに、菊花や白蒺藜(びゃくしつり)などと一緒に用いられます。

破傷風の痙攣に、白僵蚕(びゃくきょうさん)や全蝎(ぜんかつ)などと一緒に用いられます。熱極生風のひきつり・痙攣には、金銀花(きんぎんか)や釣藤鈎(ちょうとうこう)などと一緒に使用します。

小児の夜泣きに、釣藤鈎や薄荷と一緒に用いられます。夜泣きに効果があるというのは、セミが昼間よく鳴き、夜は鳴くのをやめることからあやかったとも言われています。

妊婦さんには慎重に用いたほうがよいです。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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