合歓皮(ごうかんひ)
基原
マメ科LeguminosaeのネムノキAlbizia julibrissin Durazz. の樹皮
性味
甘、平
帰経
心・脾・肺
効能・効果
①安神解鬱
②活血消腫・止痛生肌
主な漢方薬
合歓飲(ごうかんいん)
特徴
ネムノキは日本各地の山地や河岸など開けた場所に生育する落葉高木です。東北地方以南、四国、九州およびイランから南アジアに広く分布しています。ネムノキ属は主に熱帯に150種ほど分布していますが、その中でネムノキは飛び抜けて耐寒性が強く、高緯度まで分布しています。
6月から7月にかけて開花し、ピンク色の綿毛が集まった半球のような形になります。
ネムノキの名前の由来は、夜になると葉が合わさって閉じる様子が眠ったように見えたことからです。「ネム」や「ネブ」といった別名もあります。漢字名は「合歓木」です。
合歓とは夫婦が喜びをもって共寝することで、中国ではネムノキは夫婦円満の象徴とされています。
観賞用として庭に植えられたり、街路樹としても使われています。塩害に強い特性から、日本では古くから海岸線の防風林とし利用されています。
民間療法として、腫れ物や打撲、関節痛の治療に合歓皮の煎液で患部を洗ったり、入浴剤として利用していました。有名なのは合歓皮の黒焼きと黄柏(おうばく)の粉末を酢で練り合わせ、患部に塗布する方法です。
「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の中品に「合歓」として収載されています。
ネムノキの樹皮を乾燥したものを「合歓皮」といいます。夏か秋にその樹皮を剥がし、日干しにしたものです。樹皮にはタンニンが含まれており、強壮・鎮痛・駆虫・利尿作用があるとされ、不眠・打ち身・打撲などに応用されていました。ネムノキの花も生薬として利用されており「合歓花(ごうかんか)」といいます。効能は合歓皮とほぼ同じですが、合歓花は理気解鬱・和中開胃に優れています。中国ではむしろ合歓皮よりも合歓花の方が多く流通しているようです。どちらも緩和で薬力が弱いので、大量を長期間服用しなければ効果が現れにくい特徴があります。
心神不安を治療する養心安神薬(ようしんあんじんやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に酸棗仁(さんそうにん)、柏子仁(はくしにん)、夜交藤(やこうとう)、小麦(しょうばく)、遠志(おんじ)などがあります。
心神不寧・気鬱による憂鬱感・怒り・不眠・不安・焦燥などの症状に単味あるいは柏子仁・琥珀(こはく)・白芍(びゃくしゃく)などと一緒に用いられます。
肺癰の咳嗽・胸痛・膿性痰に単味あるいは十薬(じゅうやく)・冬瓜子(とうがし)などと一緒に用います。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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