ST9. 人迎(じんげい)
所属する経脈
足の陽明胃経(ようめい いけい)
別名・別表記
別名:天五会(てんごえ)
名前の由来
人迎(じんげい)の『人』は「中焦(ちゅうしょう)」を意味し、ここでは胃のことを指しています。
『迎』は「動く」ことを意味していて、動脈が拍動する様子を表しています。
このツボは首にある総頸動脈の拍動部に位置し、食物を口より胃に迎えるところにあることから人迎と名付けられました。
中焦…横隔膜からへその間のお腹を指す。飲食物の消化や栄養分の運搬を行っている。
位置
前頸部、甲状軟骨上縁と同じ高さ、胸鎖乳突筋の前縁、総頸動脈上。
のどぼとけの外側、胸鎖乳突筋の前縁に人迎があります。
ここを指で触れると、総頸動脈の拍動が感じられます。
のどぼとけの高さには複数のツボが横に並び、胸鎖乳突筋の前縁に人迎、後縁に天窓(てんそう)、前縁と後縁の中央に扶突(ふとつ)が位置しています。
主治・効能
首の症状
のどの腫れ・痛み、嚥下困難、気管支喘息(ぜんそく)、甲状腺肥大
人迎は首に位置しているため、首に出る諸症状に対して用いられます。
自律神経に関係する疾患
自律神経失調症、高血圧、狭心症、眩暈(めまい)、頭痛、不眠、嘔吐
人迎の深部には頸動脈洞(けいどうみゃくどう)があり、自律神経の調節に関わっています。
頸動脈洞…総頸動脈が外頸動脈と内頸動脈に枝分かれするところに存在する。ここには動脈圧を感知するための受容器があり、自律神経を介して血圧を調整する機能を持つ。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 広頸筋 → 胸鎖乳突筋前縁 → 総頸動脈
関係する筋肉
- 広頸筋
- 胸鎖乳突筋
関係する動脈・静脈
- 総頸動脈
- 上甲状腺動脈・静脈
関係する神経
- 顔面神経
- 頸横神経(頸神経叢の枝)
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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