PC6. 内関(ないかん)
所属する経脈
手の厥陰心包経(けついん しんぽうけい)
名前の由来
内関(ないかん)の『内』は体の「腹側(前面)」、『関』は「要所」を指しています。
このツボは手の厥陰心包経の絡穴(”要穴”の項を参照)であり、手首腹側の要穴であることから内関と名付けられました。
また、手腕背側には手の少陽三焦経の外関(がいかん)が位置し、内関と表裏関係にあることを示しています。
要穴
① 心包経の絡穴(らくけつ)
絡穴の『絡』は「まとう」という意味で、表裏関係にある経脈へと分かれているところです(手の厥陰心包経 → 手の少陽三焦経)。
表裏の経脈にまたがる不調を同時に治療したり、慢性疾患に効果があるとされています。
表裏関係…正経十二経脈(手の厥陰心包経などの12個の経脈)は6つの陽経と6つの陰経に分かれており、陽経と陰経でそれぞれ対となる相手がいる(計6つのペアが作られる)。これを表裏関係といい、手の厥陰心包経は手の少陽三焦経と対をなしている。
② 八脈交会穴(はちみゃくこうえけつ)
別称:八総穴(はっそうけつ)、八宗穴(はっそうけつ)
奇経八脈(きけいはちみゃく)を代表する8つのツボのことで、内関は陰維脈(いんいみゃく)に通じています。
また、八脈交会穴は手足に4つずつ存在していて、手足のツボを組み合わせて使うことでさまざまな不調に対応することができます。
奇経八脈…正経十二経脈の間を縦横に走る8つの経脈(督脈(とくみゃく)、任脈(にんみゃく)、衝脈(しょうみゃく)、帯脈(たいみゃく)、陽蹻脈(ようきょうみゃく)、陰蹻脈(いんきょうみゃく)、陽維脈(よういみゃく)、陰維脈(いんいみゃく))のこと。
位置
前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸。
曲沢(きょくたく)と大陵(だいりょう)を結ぶ線上で、大陵より2寸(1寸=手の親指の横幅の長さ)上がったところに内関はあります。
主治・効能
整形外科領域の症状
腕や肘の痛み・しびれ
主に、手の厥陰心包経の走行部位と関連する症状に対して主に用いられます。
循環器系の症状
胸の痛み・不快感、動悸、不整脈
心包は心臓との関係が深く、循環器疾患の治療に有効です。
その他
不眠、ヒステリー、嘔吐、生理不順
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 橈側手根屈筋腱と長掌筋腱の間 → 浅指屈筋 → 深指屈筋 → 方形回内筋 → 前腕骨間膜
関係する筋肉
- 橈側手根屈筋
- 長掌筋
- 浅指屈筋
- 深指屈筋
- 方形回内筋
関係する動脈・静脈
- 前骨間動脈・静脈
関係する神経
- 正中神経
- 内側前腕皮神経
- 外側前腕皮神経
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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