五倍子(ごばいし)

基原

ウルシ科AnacardiaceaeのヌルデRhus javanica L.などの葉に、アブラムシ科AphididaeのヌルデシロアブラムシSchlechtendalia chinensis Bellなどが寄生することにより形成される虫癭を熱湯に浸したのち乾燥したもの

性味

酸・鹹、寒

帰経

肺・大腸・腎

効能・効果

①斂肺降火
②渋腸止瀉
③渋精縮尿
④斂汗生津
⑤固渋止血

主な漢方薬

骨砕補散(こつさいほさん)
接骨散(せっこつさん)

特徴

ヌルデはウルシ科の落葉小高木で、日本、中国、ヒマラヤ、東南アジア各地に自生しています。ウルシほどではありませんが、まれにかぶれる方がいます。「ヌルデ」という名前は、幹に傷をつけると出る白い漆のような液体を採り、器物の塗料として使っていたことに由来しています。

五倍子は「付子(ふし)」とも呼ばれます。トリカブトを基原とする生薬である「附子(ぶし)」とは全く違う生薬です。

タンニンを多く含み、染色素材としてお歯黒や草木染めなどに古くから利用されてきました。

五倍子はヌルデの葉に寄生しているアブラムシの仲間のヌルデシロアブラムシなどが作った虫こぶ(虫癭)に由来します。この虫癭はヌルデミミフシという名前で呼ばれます。春に1匹のヌルデシロアブラムシがヌルデの葉に寄生して虫癭を形成し、無性生殖によって増殖します。虫こぶは春から夏にかけて徐々に大きくなり、秋になると虫癭に穴を開けてヌルデシロアブラムシが飛び出してきます。飛び出したヌルデシロアブラムシはチョウチンゴケに移動して再び無性生殖で増殖し、幼虫のまま越冬します。再び春になるとまたヌルデの葉に戻ってきます。

皮が厚く、灰褐色で破損のないものが上品であり、羽化した成虫が殻から飛び出してしまった後の虫癭は、品質が低下し生薬や染料の原料としては適していないとされています。
漏れ出るものを引き締める収渋薬(しゅうじゅうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に山茱萸(さんしゅゆ)五味子(ごみし)烏賊骨(うぞくこつ)訶子(かし)、蓮子肉(れんしにく)、烏梅(うばい)などがあります。

肺陰虚の慢性咳嗽に五味子と一緒に用いられます。

慢性の下痢・脱肛などに単独あるいは訶子や五味子と一緒に用いられます。

遺精・遺尿に茯苓(ぶくりょう)や竜骨(りゅうこつ)と一緒に用いられます。

盗汗・消渇に、単味で用いられます。

血尿・血便・性器出血などに、単味あるいは当帰(とうき)・熟地黄(じゅくじおう)・五味子などと一緒に使用します。

五倍子と五味子は効能が似ています。五味子は温性で止咳・止遺に優れており、五倍子は寒性で止汗・止瀉に優れています。

五倍子は酸収であるため、外感の咳嗽・湿熱積滞の下痢には禁忌です。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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