ST40. 豊隆(ほうりゅう)
所属する経脈
足の陽明胃経(ようめい いけい)
名前の由来
豊隆(ほうりゅう)の『豊』は「豊か」、『隆』は「盛ん」であることを意味しています。
このツボは前脛骨筋の外縁にあり、その部位が豊かに盛り上がっていることから豊隆と名付けられました。
要穴
① 胃経の絡穴(らくけつ)
絡穴の『絡』は「まとう」という意味で、表裏関係にある経脈へと分かれているところです(足の陽明胃経 → 足の太陰脾経)。
表裏の経脈にまたがる不調を同時に治療したり、慢性疾患に効果があるとされています。
表裏関係…正経十二経脈(足の陽明胃経などの12個の経脈)は6つの陽経と6つの陰経に分かれており、陽経と陰経でそれぞれ対となる相手がいる(計6つのペアが作られる)。これを表裏関係といい、足の陽明胃経は足の太陰脾経と対をなしている。
位置
下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸。
外くるぶしの先端から上に8寸(1寸 = 手の親指の横幅の長さ)いったところに豊隆があります。
この位置はちょうど、条口(じょうこう)から中指1本分だけ外側にあたります。
主治・効能
整形外科領域の症状
下肢の腫れ・痛み・しびれ・麻痺
主に、足の陽明胃経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。
消化器系の症状
腹痛、お腹の張り、下痢、便秘
足の陽明胃経に所属することから、消化器系の症状にも効果があります。
呼吸器系の症状
咳嗽(せき)、のどの痛み、喀痰(かくたん)
豊隆は余分な水分の排出を促す作用があり、痰を取り除いたりのどの痛みを緩和したりするなど、のどの諸症状を治療できます。
その他
浮腫(むくみ)
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 前脛骨筋・長趾伸筋 → 長母趾伸筋 → 下腿骨間膜 → 後脛骨筋
関係する筋肉
- 前脛骨筋
- 長趾伸筋
- 長母趾伸筋
- 後脛骨筋
関係する動脈・静脈
- 前脛骨動・静脈
関係する神経
- 深腓骨神経
- 外側腓腹皮神経
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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