LI4. 合谷(ごうこく)

  所属する経脈

手の陽明大腸経(ようめい だいちょうけい)

 別名・別表記

別名:虎口(ここう)

 名前の由来

合谷(ごうこく)の『合』は2つが合わさること、『谷』は親指と人差し指を開いた時に作られる形状のことを表しています。

このツボは、親指と人差し指が合わさってできる深い谷のような場所に位置していることから合谷と名付けられました。

ちなみに、別名の虎口も『谷』と同じく親指と人差し指が開いた時の形状を表していて、虎の口に似ていることから命名されています。

 要穴

大腸の原穴(げんけつ)

原穴は原気(元気)に通じていて、正経十二経脈手の陽明大腸経など、全12個の経脈)の根本となるところです。

そのため原穴正経十二経脈にそれぞれ一つずつ存在していて、それらのツボはすべて手首や足首の近くに位置しています。

臓腑が病気になったときには原穴に反応が現れ、その治療を行う際にも高い効果を発揮します。

四総穴(しそうけつ)

別称:四宗穴(しそうけつ)

からだを4つの部位(頭~首の後ろお腹背中~腰)に分け、それぞれを治療することのできる4つのツボのことです。

合谷顔に出ている症状に対して、すぐれた治療作用があります。

四総穴

 位置

手背、第2中手骨中点の橈側。

手の親指と人差し指の骨が合わさるところの少し前(指先側)に合谷があり、人差し指側に向かって押すと痛みを感じる場所です。

手の筋肉が発達している場合には、親指と人差し指を揃えるようにして閉じたときに一番盛り上がった部分、そこが合谷にあたります。

 主治・効能

消化器系の症状

腹痛嘔吐胃の痛み下痢便秘

手の陽明大腸経に属するツボのため、上記のような消化器系の症状に用いられます。

呼吸器系の症状

咳嗽(せき)のどの腫れ・痛み

手の陽明大腸経手の太陰肺経(たいいん はいけい)表裏関係にあり、お互いに作用するため呼吸器系の症状にも有効です。

表裏関係…正経十二経脈手の陽明大腸経など)は6つの陽経と6つの陰経に分かれており、陽経と陰経でそれぞれ対となる相手がいる(計6つのペアが作られる)。これを表裏関係といい、手の陽明大腸経手の太陰肺経と対をなしている。

経脈の表裏関係(肺経と大腸経)

整形外科領域の症状

肩・腕・肘・手首の痛み指の痺れ肩関節周囲炎(五十肩)腱鞘炎片麻痺

主に、手の陽明大腸経の走行部位と関係のある症状に対して使われます。

顔の症状

頭痛眩暈(めまい)眼精疲労目の充血歯の痛みあごの腫れ鼻血顔面神経麻痺面疔(めんちょう)

手の陽明大腸経は顔にも分布しているため、顔に出る症状に対しても効果があります。

特に合谷は、四総穴において顔の症状の治療穴とされており、さまざまな顔面疾患に対して著効を示します。

 局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 第一背側骨間筋 → 母指内転筋

関係する筋肉

  • 第一背側骨間筋
  • 母指内転筋

関係する動脈・静脈

  • 第一背側中手動脈
  • 手背静脈網

関係する神経

  • 背側指神経(橈骨神経)
  • 尺骨神経

 参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)

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