LI11. 曲池(きょくち)

 所属する経脈

手の陽明大腸経(ようめい だいちょうけい)

 別名・別表記

別名:鬼臣(きこ)陽沢(ようたく)

 名前の由来

曲池(きょくち)の『曲』は肘の「曲がる」部分を、『池』は「くぼみ」の形状を例えたものです。

このツボは、肘を曲げたときにできる浅いくぼみに位置していることから曲池と名付けられました。

 要穴

大腸経の合土穴(ごうどけつ)

五行論(ごぎょうろん)において、曲池は『土』の性質を持っています。

五行論(五行説)…自然界に存在する全ての物を、『木・火・土・金・水』の5つの属性に分類する東洋哲学の理論。手の陽明大腸経に属するツボにも五行が配当されており(=五行穴)、曲池は『土』にあたる。

大腸経_五行穴_合土穴_曲池

 位置

肘外側、尺沢(LU5)と上腕骨外側上顆を結ぶ線上の中点。

肘を完全に曲げたとき、肘の内側にできるシワの一番外側(親指側)に曲池があります。

同じ肘のシワ上に並ぶツボとして、曲池のほかに尺沢(しゃくたく)曲沢(きょくたく)があります。

また、肘にある曲池と手首にある陽渓(ようけい)を結ぶ線上には、手の陽明大腸経に属するツボが縦に整列していて、陽渓偏歴(へんれき)温溜(おんる)下廉(げれん)上廉(じょうれん)手三里(てさんり)曲池 の順に並んでいます。

 主治・効能

消化器系の症状

腹痛嘔吐下痢便秘虫垂炎

手の陽明大腸経に属するツボのため、上記のような消化器系の症状に用いられます。

呼吸器系の症状

咳嗽(せき)胸のつかえのどの腫れ・痛み

手の陽明大腸経手の太陰肺経(たいいん はいけい)表裏関係にあり、お互いに作用するため、呼吸器系の症状にも有効です。

表裏関係…正経十二経脈手の陽明大腸経など)は6つの陽経と6つの陰経に分かれており、陽経と陰経でそれぞれ対となる相手がいる(計6つのペアが作られる)。これを表裏関係といい、手の陽明大腸経手の太陰肺経と対をなしている。

経脈の表裏関係(肺経と大腸経)

皮膚の症状

湿疹蕁麻疹(じんましん)乾燥肌肌荒れかゆみ丹毒(たんどく)蜂窩織炎(ほうかしきえん)化膿性皮膚疾患

大腸と表裏関係にある肺は、皮膚と密接に関係しています。

そのため、皮膚疾患の治療に曲池が用いられることも多いです。

整形外科領域の症状

肩・腕・肘の痛み肩こり橈骨神経障害関節リウマチ片麻痺

主に、手の陽明大腸経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。

顔の症状

頭痛眩暈(めまい)目の痛み・かすみ・充血眼精疲労麦粒腫(ものもらい)結膜炎耳鳴り難聴歯の痛みあごの腫れ

手の陽明大腸経は顔にも分布しているため、顔に出る症状に対しても効果があります。

なかでも特に、曲池は眼科疾患に対して効果が高いといわれています。

 局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋

関係する筋肉

  • 長橈側手根伸筋
  • 短橈側手根伸筋

関係する動脈・静脈

  • 橈側反回動脈
  • 橈側皮静脈

関係する神経

  • 橈骨神経
  • 後前腕皮神経(橈骨神経の枝)

 参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)