LI6. 偏歴(へんれき)
所属する経脈
手の陽明大腸経(ようめい だいちょうけい)
名前の由来
偏歴(へんれき)の『偏』は「斜め」、『歴』は「通過」を意味しています。
このツボは手の陽明大腸経の絡穴(”要穴” の項を参照)であり、ここより分かれて手の太陰肺経(たいいん はいけい)に向かって斜めに走ることから偏歴と名付けられました。
要穴
① 大腸経の絡穴(らくけつ)
絡穴の『絡』は「まとう」という意味で、表裏関係にある経脈へと分かれているところです(手の陽明大腸経 → 手の太陰肺経)。
表裏の経脈にまたがる不調を同時に治療したり、慢性疾患に効果があるとされています。
表裏関係…正経十二経脈(手の陽明大腸経など12個の経脈)は6つの陽経と6つの陰経に分かれており、陽経と陰経でそれぞれ対となる相手がいる(計6つのペアが作られる)。これを表裏関係といい、手の陽明大腸経は手の太陰肺経と対をなしている。
位置
前腕後外側、陽渓(LI5)と曲池(LI11)を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸。
手首の関節上にある陽渓(ようけい)と、肘の関節上にある曲池(きょくち)を結んだ線の上、陽渓から3寸(親指以外の手の指4本分の幅)上がったところに偏歴があります。
手首~肘を4等分したときにちょうど手首側から1/4の場所にあたります。
陽渓と曲池を結ぶ線上には複数のツボが並んでいて、偏歴の他に、温溜(おんる)、下廉(げれん)、上廉(じょうれん)、手三里(てさんり)があります。
その位置関係として、偏歴は温溜の2寸下(親指の幅2つ分下がったところ)に位置しています。
主治・効能
整形外科領域の症状
肩・肘・腕の痛み、腱鞘炎、片麻痺
主に、手の陽明大腸経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。
顔の症状
頭痛、耳鳴り、難聴、目の充血・かすみ、鼻血、歯の痛み、のどの腫れ・痛み、顔面神経麻痺
手の陽明大腸経は顔にも分布しているため、顔に出る症状に対しても効果があります。
水分代謝に関係する症状
浮腫(むくみ)、排尿困難
偏歴は絡穴であり、手の太陰肺経と通じています。
肺には「通調水道(つうちょうすいどう)」と呼ばれる機能があり、偏歴を通じてからだの中の水分を調節することができます。
通調水道…『通』とは疎通、『調』とは調節、『水道』とは体内にある水の通り道のこと。肺が持つ機能の一つで、水分を全身に巡らせたり、汗や尿として排泄することに関与する。このことから、肺は「水の上源」とも表現される。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 長母指外転筋腱 → 長橈側手根伸筋腱 → 短橈側手根伸筋腱
関係する筋肉
- 長母指外転筋
- 短母指伸筋
- 長橈側手根伸筋
- 短橈側手根伸筋
関係する動脈・静脈
- 橈骨動脈・静脈
- 橈側皮静脈
関係する神経
- 外側前腕皮神経(筋皮神経)
- 橈骨神経
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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