LI1. 商陽（しょうよう）

　 所属する経脈

手の陽明大腸経（ようめい だいちょうけい）

　別名・別表記

別名：絶陽（ぜつよう）

　名前の由来

商陽（しょうよう）の『商』は五行論（ごぎょうろん）における五音（角・徴・宮・商・羽）の1つで、大腸と同じく「金」に属しています。

『陽』は「陽経」のことを指しています。

このツボは陽経に属していて、五音から大腸と同じ「金」に属するものを取って商陽と名付けられました。

　要穴

① 大腸経の井金穴（せいきんけつ）

五行論において、商陽は『金』の性質を持っています。

　位置

人差し指の爪の生え際、そのすぐ外側（親指側）に商陽があります。

　主治・効能

消化器系の症状

下痢、胃炎

手の陽明大腸経に属するツボのため、上記のような消化器系の症状に用いられます。

呼吸器系の症状

咳嗽（せき）、気管支喘息（ぜんそく）、のどの腫れ・痛み、胸のつかえ

手の陽明大腸経は手の太陰肺経（たいいん はいけい）と表裏関係にあり、お互いに作用するため呼吸器系の症状にも有効です。

整形外科領域の症状

肩の痛み、指の痺れ

主に、手の陽明大腸経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。

顔の症状

歯の痛み（特に下の歯）、あごの腫れ

手の陽明大腸経は顔にも分布しているため、顔に出る症状に対しても効果があります。

その他

熱中症、脳卒中

商陽には熱を取り去る作用があるため、熱中症などにも用いられることがあります。

また、指先にあるツボは弱い刺激に対しても強い反応を示し、急性の重症に効果があるとされています。

　局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 爪根

関係する動脈・静脈

• 背側指動脈・静脈

関係する神経

• 固有掌側指神経

　参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（1997）
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（2009）
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ～触ってわかる身体解剖～ / 医道の日本社 (2012)