HT7. 神門（しんもん）

　 所属する経脈

手の少陰心経（しょういん しんけい）

　別名・別表記

別名：兌衝（だしょう）、中都（ちゅうと）

　名前の由来

神門（しんもん）の『神』は「神気」、『門』は「出入りするところ」を意味しています。

このツボは神気の出入りするところであることから神門と名付けられました。

　要穴

① 心の原穴（げんけつ）

原穴は原気（元気）に通じていて、正経十二経脈（手の少陰心経など）の根本となるところです。

そのため原穴は十二経脈にそれぞれ一つずつ存在していて、それらのツボはすべて手首や足首の近くに位置しています。

臓腑が病気になったときには原穴に反応が現れ、その治療を行う際にも高い効果を発揮します。

② 心経の兪土穴（ゆどけつ）

五行論（ごぎょうろん）において、神門は『土』の性質を持っています。

　位置

手首の曲がりジワを小指側になでていくと、腱に触れます（尺側手根屈筋腱）。

その腱の手前にくぼみがあり、そこが神門（しんもん）にあたります。

尺側手根屈筋腱の際には他にもいくつかのツボが縦に並んでおり、神門の上方0.5寸に陰郄（いんげき）、上方1寸に通里（つうり）、上方1.5寸に霊道（れいどう）が位置しています。

　主治・効能

整形外科領域の症状

腕や手関節の痛み・しびれ、手指のけいれん、尺骨神経麻痺

手の少陰心経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。

循環器系の症状

胸の痛み、動悸、息切れ、狭心症

手の少陰心経に所属することから、循環器系の症状に効果があります。

精神科領域の症状

神経症（ノイローゼ）、ヒステリー、不眠、癇癪（かんしゃく）

五臓の心は、精神と密接に関係しています。

顔の症状

頭痛、めまい、顔の赤み

手の少陰心経は支脈が顔面部に及んでいるため、顔に出る症状を治療できます。

　局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 尺側手根屈筋腱

関係する筋肉

• 尺側手根屈筋

関係する動脈・静脈

• 尺骨動脈・静脈
• 尺側皮静脈

関係する神経

• 内側前腕皮神経
• 尺骨神経

　参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（1997）
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（2009）
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ～触ってわかる身体解剖～ / 医道の日本社 (2012)