【漢方相談】40代・女性 胸やけ・頭皮の脂
◆ ご相談された症状
食後の胸やけ
冬でも暑くて、頭皮に脂が出ること
◆ ご相談されて症状はどう変わりましたか?
以前はカツ一切れでギブアップしていたが、カツ丼が食べられるようになった。
暑いのは内臓と下半身の冷えが原因と言われ、半信半疑だったけど、頭皮の脂が抑えられて、髪がベタベタすることはなくなった。
桃華堂からのコメント
この方は食欲はありますが、外食すると胃もたれしてしまうとのことで相談に来られました。食後に抗えないほどの眠気を感じ、ストレスを感じたときには腹痛と下痢の症状が出るなど胃腸の不調がありました。暑さの症状については、冬でも薄着で十分に感じるぐらい、とのことでした。また、緊張すると水分を多めに摂ってしまうクセがあるようでした。
舌を拝見したところ、色が淡く、表面に紫の斑点がありました。ご本人の体感では熱がこもっているとのことでしたが、舌を見ると、むしろ体は冷え切っていました。また、紫斑があることから血流が悪い状態でもありました。以上より、この方は体の表面が火照っている一方で内臓や下半身は冷えている「冷えのぼせ」の状態であり、胃腸の弱りの原因は冷えにあると考えられました。
初回の相談ではお腹を温める人参湯(にんじんとう)と、血流を改善する芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)を中心にお渡ししました。日常生活のポイントとして、下半身を温かくして過ごすこと、のどが渇いていないときの水分摂取はなるべく控えることをお伝えしました。そうして2週間後には胃もたれが軽減し、食後の眠気も起きていられる程度になりました。2回目以降の相談では、お渡しする漢方薬を、お腹を温めながら腸内環境を整えてくれる小建中湯(しょうけんちゅうとう)に変更し、他の胃薬とともに服用していただきました。その後も順調に胃腸症状が改善していき、服用から2ヶ月ほどで治療終了となりました。
体のほてりや髪の脂など、一見すると熱証のように思える症状でも根本は冷えが原因であることは結構あります。上半身は温かい空気が上に昇るように熱がこもりやすく、反対に下半身はむくんで冷えやすく、この温度差が広がるほど不調が出やすくなります。この状態で厄介なのは、根本が冷えていても体感では暑さを感じる点にあり、冷たい飲食物を好んだり薄着になったりして、さらに冷えを悪化させてしまう恐れがあります。冷えのぼせの症状を改善するには下半身を温めることが必須です。上半身は暑ければ薄着になっても良いですが、下半身は決して冷やしてはいけません。また、温度差が生まれる原因は血流の悪さにもあります。血液がしっかり流れていれば、上半身の熱を下に運び、下半身を温めてくれます。血流をよくする一番の方法は漢方薬よりも運動です。座っていることが多い方は、せめて1時間に一度は立って体を動かすのがおすすめです。