KI10. 陰谷(いんこく)
所属する経脈
足の少陰腎経(しょういん じんけい)
名前の由来
陰谷(いんこく)の『陰』は「内側」、『谷』は「陥凹」を指しています。
このツボは膝裏の内側にある陥凹部に位置することから陰谷と名付けられました。
要穴
① 腎経の合水穴(ごうすいけつ)
五行論(ごぎょうろん)において、陰谷は『水』の性質を持っています。
五行論(五行説)…自然界に存在する全ての物を、『木・火・土・金・水』の5つの属性に分類する東洋哲学の理論。足の少陰腎経に属するツボにも五行が配当されており(=五行穴)、陰谷は『水』にあたる。
位置
膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上。
膝を曲げたとき、膝窩横紋(膝裏のシワ)の内側に浮き出る二つの腱(半腱様筋腱と半膜様筋腱)の間に陰谷はあります。
主治・効能
整形外科領域の症状
太ももや膝の痛み・痺れ・冷え
主に、足の少陰腎経の走行部位と関連する症状に対して主に用いられます。
泌尿生殖器系の症状
排尿困難、生理不順、不正出血、おりものの異常、ED(インポテンツ)、下腹部の痛み
腎は生殖や水分代謝と深く関係しており、泌尿生殖系統の諸症状を治療します。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 半腱様筋腱・半膜様筋腱 → 腓腹筋内側頭
関係する筋肉
- 下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)
- 半腱様筋
- 半膜様筋
関係する動脈・静脈
- 膝関節動脈網
- 内側上膝動脈・静脈
関係する神経
- 伏在神経
- 脛骨神経
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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