BL14. 厥陰兪(けついんゆ)
所属する経脈
足の太陽膀胱経(たいよう ぼうこうけい)
名前の由来
厥陰兪(けついんゆ)の『厥陰』は「心包」の別名です。
このツボは心包の背部兪穴(”要穴” の項を参照)であることから厥陰兪と名付けられました。
要穴
① 心包の背部兪穴(ゆけつ)
兪穴の『兪』は「輸送する」ことを意味しており、兪穴とは経気(経脈上を流れている気)を輸送するところです。
兪穴は全部で12個あり、そのすべてが背中に位置しているため背部兪穴とも呼ばれます。
12個の兪穴はそれぞれが六臓六腑と対応しており、厥陰兪は心包に対応しています。
位置
上背部、第4胸椎(T4)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。
第4胸椎の棘突起下縁から外方に1.5寸(1寸=手の親指の横幅の長さ)いったところに厥陰兪はあります。
厥陰兪からさらに外方1.5寸には、膏肓(こうこう)が位置しています
主治・効能
循環器系の症状
胸の痛み・つかえ、動悸、狭心症、心筋梗塞、歯の痛み
厥陰兪は心包の背部兪穴であるため、心血管系統の疾患によく用いられます。
呼吸器系の症状
咳嗽(せき)、喘息
厥陰兪は肺の近くにあるため、呼吸器系の疾患にも効果があります。
その他
嘔吐、肋間神経痛
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 僧帽筋 → 菱形筋 → 上後鋸筋 → 脊柱起立筋
関係する筋肉
- 僧帽筋
- 大菱形筋
- 小菱形筋
- 上後鋸筋
- 脊柱起立筋
関係する動脈・静脈
- 肋間動脈
- 頸横動脈
関係する神経
- 副神経
- 頸神経叢筋枝
- 肩甲背神経
- 胸神経後枝
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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