海金砂(かいきんしゃ)
基原
カニクサ科 Lygodiaceae のカニクサ Lygodium japonicum Sw.の成熟胞子
性味
甘・鹹、寒
帰経
膀胱・小腸
効能・効果
①利水通淋
主な漢方薬
海金砂散(かいきんしゃさん)
特徴
カニクサはフサシダ(カニクサ)科のつる性シダ植物です。シダ類では珍しく、土手や石垣など他物に寄りかかるようにして繁殖します。カニクサの和名の由来は、カニクサの蔓で蟹を釣り上げていたためという説と、葉の形がカニの形に似ていることからという説があります。ツルシノブという別名があり、名前の由来は小葉がシノブに似ていて、つる性であることからきています。長くのぼる蔓は実は1枚の葉であり、本当の茎は地下にあります。日本では中部以南、世界では朝鮮半島、中国、インドシナに分布し、日当たりのよい林緑や道端に生え、雑草として扱われることが多いです。
アメリカでは日本からカニクサが持ち込まれ帰化しており、侵略性の高い雑草と見なされています。他にも日本から持ち込まれて厄介者扱いされているものにクズ(葛根)やスイカズラ(金銀花)などがあります。
薬用部位である胞子は秋に採れます。葉の縁には胞子嚢群があり、黄色で四面体の胞子を生じます。夏から秋にかけて胞子嚢のついた葉を集め、紙袋のなかで揉む方法や、干して乾燥させたものを紙の上に置いて棒で叩いて胞子を取ります。量を集めるのが大変なため、葉全体を粉末化した粗悪品が出回ることがあります。胞子には脂肪油、リゴジンが含まれており、葉にはフラボノイドが含まれています。
水の巡りを改善する利水滲湿薬(りすいしんしつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に茯苓(ぶくりょう)、猪苓(ちょれい)、沢瀉(たくしゃ)、車前子(しゃぜんし)、防已(ぼうい)、薏苡仁(よくいにん)、木通(もくつう)、茵陳蒿(いんちんこう)、金銭草(きんせんそう)、滑石(かっせき)があります。
利尿作用・清熱作用があり、尿路結石・排尿困難・排尿痛に滑石や金銭草と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に海金砂散(かいきんしゃさん)があります。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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