鴨跖草(おうせきそう)
基原
ツユクサ科CommelinaceaeのツユクサCommelina communisの全草
性味
甘・苦、寒
帰経
肺・胃・小腸・腎・膀胱
効能・効果
①清熱解毒
②利水
特徴
ツユクサは道端や野原でよく見られる雑草の一種です。朝咲いた花が昼にはしぼむことが朝露を連想させ、「露草」と名付けられたという説があります。古くは「ツキクサ」と呼ばれており、これが転じて「ツユクサ」になったという説もあります。
ツユクサは「鴨跖草」という字が当てられることもあります。中国では「鴨跖草(おうせきそう)」の方で呼ばれており、名前の由来は正面から見た花の姿が鴨の堅い足の裏に似ていることからです。跖は中国語で足という意味です。万葉集には「鴨頭草」という表記もあります。万葉人は花の姿を鴨の頭と長い首に見立て、「鴨頭草」という字を当てたのではないかと言われています。
万葉集にツユクサを詠った歌が9首存在します。このことから、日本人にとって古くから親しまれていた植物であることがわかります。朝咲いた花が昼にはしぼんでしまうことから儚さの例えとして詠まれたものが多いですが、実際のツユクサの生命力と繁殖力はとても強く、根ごと引っこ抜いても土に種を残し、引っこ抜いたまま放置しておくとまた土に根付いてしまうほどで、儚さとは無縁の植物です。
熱毒を治療する清熱解毒薬(せいねつげどくやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に十薬(じゅうやく)、金銀花(きんぎんか)、連翹(れんぎょう)、蒲公英(ほこうえい)、板藍根(ばんらんこん)、土茯苓(どぶくりょう)、白花蛇舌草(びゃっかじゃぜつそう)があります。
漢方薬としては使われていませんが、清熱作用や解熱作用があるとされ、民間薬として風邪の解熱剤や喉の腫れに使われていました。虫刺されや腫れに新鮮なものをすり潰して外用としても使われていました。
水の巡りを改善する効果があり、浮腫や尿量減少、排尿痛などに用いられました。
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