鉛丹(えんたん)
基原
黒鉛(こくえん)を製錬して得た橙紅~橙黄色の粉末化合物
性味
辛、微寒。有毒
帰経
心・脾・肝
効能・効果
①解毒止痒・収斂生肌
②墜痰鎮驚
主な漢方薬
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)※現代では鉛丹は使用されていない
特徴
鉛丹は金属の鉛を加熱して一酸化鉛(PbO)とし、さらに加熱して酸素と反応させて精製されます。主成分は四酸化三鉛(Pb3O4)です。
鉛丹は橙赤色をしていて、赤色の染料や錆止め、鉛ガラスの原料、陶磁器のうわ薬として用いられていました。
外用として主に使用される外用薬に分類され、同じような効能を持つ生薬に蟾酥(せんそ)・、硫黄(いおう)、水銀(すいぎん)、明礬(みょうばん)、狼毒(ろうどく)、青黛(せいたい)、蝸牛(かぎゅう)などがあります。外用薬の多くは毒性をもっており、使用時には注意が必要です。内服してよい場合でも丸・散として服用し、また炮製してから外用すべきです。用量は厳守し中毒を防止する必要があります。
皮膚の再生を促し、解毒する働きがあるため、化膿性の皮膚炎や湿疹・外傷・潰瘍などに外用されます。
服用すると動悸や不眠・胸苦しいなどの熱痰(痰に熱が加わった状態)による症状を改善します。しかし、鉛丹の主成分である四酸化三鉛(Pb3O4)は体内に蓄積して中毒を起こす危険があるため、現在では内服薬として使用されることはありません。柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)の原典である傷寒論(しょうかんろん)には鉛丹を含む12種類の生薬で構成されていましたが、現代では鉛丹と大黄(だいおう)を除いた10種類の生薬で柴胡加竜骨牡蛎湯としているものが多いです。鉛丹が除かれるのは毒性があるためですが、大黄が除かれるのは便秘の症状がない人にも使いやすくするためです。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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