淫羊霍(いんようかく)

淫羊霍

基原

メギ科Berberidaceaeのホザキイカリソウ Epimedium sagittatum Maximなどの葉

性味

辛・甘、温

帰経

肝・腎

効能・効果

①補腎壮陽・強筋骨
②去風除湿

主な漢方薬

二仙湯(にせんとう)

特徴

中国ではこのイカリソウについて次のような逸話があります。「四川北部の雄の羊は1日に百回も交尾する。これは霍(かく)と言う草を食べるためだ。故に、この霍を淫羊霍と名付けた」このような逸話が、中国の明時代の薬学書「本草綱目」に記されています。また、中国では「放杖草」という別名もあり、これは「杖をついている老人も、これを食せば杖を放り出すほど元気になる」という逸話が由来です。和名のイカリソウは漢字で「錨草」と書き、花の形が船の錨に似ていることが由来です。

陽虚を改善する助陽薬(じょようやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に鹿茸(ろくじょう)、冬虫夏草(とうちゅうかそう)、巴戟天(はげきてん)、肉蓯蓉(にくじゅよう)、杜仲(とちゅう)、菟絲子(としし)などがあります。

逸話からもわかる通り、主に精力剤や強壮剤としてインポテンツや不妊症に用いられます。有効成分であるイカリインは、平滑筋を弛緩させる働きがあり、これにより陰茎などの血流が増えることで勃起不全を改善します。動物実験では、性ホルモン分泌促進作用があると報告されています。

腎を補うことから、足腰の衰えや頻尿・健忘症や倦怠無力感などにも効果があります。当帰(とうき)や黄柏(おうばく)と一緒に配合されている二仙湯(にせんとう)は、女性の月経不順や更年期の高血圧症状などに用いられます。

風邪(ふうじゃ)と湿邪(しつじゃ)が関節や経絡を犯すと、痛みやしびれなどの症状が出ます。淫羊霍にはこれを改善する効果があり、特に下半身の関節痛やしびれ、運動障害などに用いられます。

このほかにも鎮咳作用・去痰作用もあります。

民間では古来より強精・強壮の薬として薬酒が作られていました。淫羊霍をお酒につけたものは、淫羊霍酒と呼ばれています。有名な「薬用養命酒」にも淫羊霍は使われています。

体を温める作用があり、冷え症からくる腰痛や頻尿にはよいですが、乾燥させる性質が強いため、陰虚(潤いが足りない状態)の方には不向きです。

巴戟天(はげきてん)や肉従蓉(にくじゅよう)と効能は似ていますが、違いとしては淫羊霍の方が効力は強く、巴戟天や肉従蓉には淫羊霍のように乾燥させる性質はありません。