LI17. 天鼎(てんてい)
所属する経脈
手の陽明大腸経(ようめい だいちょうけい)
名前の由来
天鼎(てんてい)の『天』は「高いところ」、すなわち人のからだでは頭を表しています。
『鼎』は古代中国の銅器のことで、その中でも脚が3本あるものを指します。
このツボは首にあり、左右の天鼎と頸椎上にある大椎(だいつい)の3点で頭部を支えている様子を『鼎』に例えたことから天鼎と名付けられました。
※『鼎』に例えた部位には諸説あり、左右の胸鎖乳突筋および脊椎を例えたもの、天鼎、欠盆(けつぼん)、気舎(きしゃ)の3つのツボを例えたもの、左右の手の陽明大腸経および督脈(とくみゃく)を例えたものなどがあります。
督脈(とくみゃく)…奇経八脈の一つ。体の後面中心部に分布し、背部から項(うなじ)、頭部にかけて運行している。奇経八脈に属する経脈は、督脈のほかに、任脈(にんみゃく)、衝脈(しょうみゃく)、帯脈(たいみゃく)、陽蹻脈(ようきょうみゃく)、陰蹻脈(いんきょうみゃく)、陽維脈(よういみゃく)、陰維脈(いんいみゃく)がある。
位置
前頸部、輪状軟骨と同じ高さ、胸鎖乳突筋の後縁。
まず、喉仏(のどぼとけ)から3寸(手の親指以外の指4本分の幅)外側、胸鎖乳突筋上に扶突(ふとつ)を取ります。
扶突を取ったら、その1寸下(手の親指の幅分下がったところ)、胸鎖乳突筋の後縁に天鼎があります。
同じ高さにあるツボとして、胸鎖乳突筋の前縁に水突(すいとつ)があり、天鼎と胸鎖乳突筋をはさむようにして位置しています。
主治・効能
首・のどの症状
首こり、寝違え、のどの腫れ・痛み、頸部リンパ節腫脹、嚥下困難、嗄声(声がれ)
天鼎は首にあり、のどや気管とも近い位置にあるため、その周辺に作用し効果を示します。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 広頸筋 → 胸鎖乳突筋の後縁 → 斜角筋間隙
関係する筋肉
- 広頸筋
- 胸鎖乳突筋
関係する動脈・静脈
- 上行頸動脈
- 浅頸動脈
- 外頸静脈
関係する神経
- 鎖骨上神経
- 顔面神経
- 副神経
- 頸神経叢
- 腕神経叢
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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