KI3. 太谿（たいけい）

　 所属する経脈

足の少陰腎経（しょういん じんけい）

　別名・別表記

太渓（たいけい）、呂細（ろさい）

　名前の由来

太谿（たいけい）の『太』は「大きい」、『谿（渓）』は「渓谷」を意味しています。

このツボは渓谷のような大きいくぼみに位置することから太谿と名付けられました。

　要穴

① 腎の原穴（げんけつ）

原穴は原気（元気）に通じていて、正経十二経脈（足の少陰腎経など）の根本となるところです。

そのため原穴は十二経脈にそれぞれ一つずつ存在していて、それらのツボはすべて手首や足首の近くに位置しています。

臓腑が病気になったときには原穴に反応が現れ、その治療を行う際にも高い効果を発揮します。

② 腎経の兪土穴（ゆどけつ）

五行論（ごぎょうろん）において、太谿は『土』の性質を持っています。

　位置

内くるぶしの後ろ側、アキレス腱との間にある大きなくぼみに太谿はあります。

この部位に指で触れると、後脛骨動脈の拍動を感じることができます。

　主治・効能

整形外科領域の症状

腰背部の痛み、下肢の痛み・痺れ・冷え

主に、足の少陰腎経の走行部位と関連する症状に対して主に用いられます。

泌尿生殖器系の症状

頻尿、生理痛、生理不順、ED（インポテンツ）、浮腫（むくみ）

腎は生殖や水分代謝と深く関係しており、泌尿生殖系統の諸症状を治療します。

精神科領域の症状

不眠、不安感、物忘れ

腎を補うことは精神の安定につながります。

頭・顔の症状

頭痛、めまい、耳鳴り、難聴、のどの腫れ・痛み、歯の痛み

　局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → アキレス腱・長趾屈筋腱・後脛骨筋腱

関係する筋肉

• 長趾屈筋
• 後脛骨筋
• 下腿三頭筋

関係する動脈・静脈

• 後脛骨動脈・静脈

関係する神経

• 伏在神経
• 脛骨神経

　参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（1997）
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社（2009）
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ～触ってわかる身体解剖～ / 医道の日本社 (2012)