甘遂(かんつい)

基原

トウダイグサ科Euphorbiaceaeのトウダイグサ属植物Euphorbia kansui Liouの根

性味

苦、寒。有毒

帰経

肺・脾・腎

効能・効果

①瀉水除湿
②逐痰滌飲
③消腫散結

主な漢方薬

舟車丸(しゅうしゃがん)
大陥胸湯(だいかんきょうとう)
十棗湯(じっそうとう)

特徴

トウダイグサ科の植物は日本では本州以南に広く分布し、日当たりのよい荒地や畑などに生えています。全草にわたり有毒で、茎や葉を傷つけると白い乳液を出すものが多くあります。甘遂以外にトウダイグサ科の植物で生薬として利用されているものに、沢漆(たくしつ)、大戟(たいげき)、巴豆(はず)などがありますが、全て有毒です。

太く大きく、外面に赤斑があり、内部が白く、粘性が強いものが良品とされ、断面の繊維性が強い物は劣品とされています。

瀉下薬の中でも作用が非常に激しく、下痢を起こさせ体内の水分を排出させる峻下逐水薬(しゅんげちくすいやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に牽牛子(けんごし)、大戟、芫花(げんか)などがあります。作用が非常に激しいため、常用はせず、安易な使用は避けるようにと多くの書物に書かれています。

甘遂・大戟・芫花の中で薬効は甘遂がもっとも強く、大戟がこれに次ぎ、芫花はやや緩やかです。毒性は芫花がもっとも強く、甘遂・大戟はやや緩やかです。

「泄水の聖薬」と呼ばれ、甘遂・大戟・芫花の3つの峻下逐水薬を併用することで、胸水や腹水の治療に用いられます。代表的な漢方薬に十棗湯(じっそうとう)があります。十棗湯は3つの峻下逐水薬を併用することによる消耗を抑え、作用を緩和するために大棗(たいそう)10個を服用することからこのような名前がつきました。

水飲と熱邪が胸部で互結したことによる胸痛や胸膜炎などに用いられます。代表的な漢方薬に大黄(だいおう)と芒硝(ぼうしょう)と甘遂の三味から構成された大陥胸湯(だいかんきょうとう)があります。

化膿性皮膚炎に単味を粉末にしたものを外用します。

甘遂は有毒なため、生用するのは外用薬のみであり、内服する場合は修治加工して弱毒化します。過量にならないように注意し、効果があればすぐに服用を中止します。

生薬の配合で混ぜると毒性が強く出やすい組み合わせを「十八反(じゅうはっぱん)」と言います。甘遂もこの中に含まれており、配合禁忌とされている生薬に甘草(かんぞう)があります。

有効成分は水に溶けにくいので、煎じずに粉末のまま加えられます。

虚弱な体質の方や、妊婦には禁忌です。