SI2. 前谷(ぜんこく)

  所属する経脈

手の太陽小腸経(たいよう しょうちょうけい)

 別名・別表記

別名:手太陽(てたいよう)

 名前の由来

前谷(ぜんこく)の『前』は「前方」、『谷』は「谷間」を意味しています。

このツボは小指の中手指節関節の前方(遠位)にあり、その部位が谷のようになっていることから前谷と名付けられました。

 要穴

① 小腸経の栄水穴(えいすいけつ)

五行論(ごぎょうろん)において、前谷は『水』の性質を持っています。

五行論(五行説)…自然界に存在する全ての物を、『木・火・土・金・水』の5つの属性に分類する東洋哲学の理論。手の太陽小腸経に属するツボにも五行が配当されており(=五行穴)、前谷は『水』にあたる。

小腸経の栄水穴

 位置

小指、第5中手指節関節尺側の遠位陥凹部、赤白肉際。

軽くこぶしを握ったとき、小指の付け根あたりに大きなシワが2本できます。そのうち、小指に近い方のシワの外端に前谷はあります。

なお、もう一方のシワの外端には後渓(こうけい)が位置しています。

 主治・効能

整形外科領域の症状

手指のしびれ尺骨神経麻痺

手の太陽小腸経の走行部位と関係のある症状に対して用いられます。

顔の症状

頭痛耳鳴り目の痛み・充血眼精疲労鼻血のどの腫れ・痛み

手の太陽小腸経は顔面部も通っているため、顔に出る症状にも有効です。

その他

乳汁分泌不全

 局所解剖

皮膚 → 皮下組織 → 第5指基節骨底

関係する動脈・静脈

  • 背側指動脈・静脈

関係する神経

  • 尺骨神経

 参考文献

著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)

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