黄柏(おうばく)

黄柏

基原

ミカン科 Rutaceaeのキハダ Phellodendron amurense Rupr.またはその他同属植物の周皮を除いた樹皮

性味

苦、寒

帰経

腎・胆・膀胱

効能・効果

①清熱燥湿
②清熱瀉火
③清熱解毒

主な漢方薬

梔子柏皮湯(ししはくひとう)
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
温清飲(うんせいいん)
七物降下湯(しちもつこうかとう)
滋陰降火湯(じいんこうかとう)
滋腎通耳湯(じじんつうじとう)
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
中黄膏(ちゅうおうこう)

特徴

黄柏はミカン科のキハダの樹皮を使います。キハダという名前は樹皮を剥がすと内側が黄色いことに由来しています。南方のものほど皮が厚く、鮮やかな色で、苦味の強いものが良品とされています。

黄柏の味はとても苦いです。この苦味の正体はベルベリンという成分で、黄柏が黄色なのもベルベリンの影響です。ベルベリンは単体で医薬品として用いられており、黄柏はその製造原料としても使われます。薬効は胃腸機能の促進・抗菌作用・下痢止め・血圧降下・抗炎症作用など多岐にわたります。ベルベリンは黄柏以外に黄連(おうれん)にも含まれています。

古くから民間薬として用いられており、黄柏を煎じた汁を煮詰めたエキスは不意の腹痛や下痢に備えて旅の懐中薬や家庭の常備薬として利用されていました。下痢止めや健胃薬にも配合されており、黄柏を使った代表的な日本の民間薬に陀羅尼助(だらにすけ)、百草(ひゃくそう)、煉熊(ねりぐま)などがあります。効き目はもちろん、いずれも霊験あらたかな由来があること、参拝者がお土産にしたこと、修験者が各地で宣伝したことにより大いに売れたそうです。

熱を冷まして湿邪(しつじゃ)を除く清熱燥湿薬(せいねつそうしつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に黄連、黄芩(おうごん)苦参(くじん)などがあります。

漢方薬では健胃薬というよりも清熱剤としての効能の方が注目されています。黄柏は湿邪(しつじゃ)を伴う熱を鎮める働きがあり、代表的な漢方薬は黄芩、黄連、山梔子(さんしし)と一緒に配合されている黄連解毒湯(おうれんげどくとう)です。

陰虚火旺(いんきょかおう:体の潤い不足によって相対的に陽が亢進する状態)の熱を鎮める目的で知母(ちも)や生地黄(しょうじおう)と一緒に使われます。代表的な漢方薬は知柏地黄丸(ちばくじおうがん)滋陰降火湯(じいんこうかとう)です。

消炎効果があることから、打撲に外用薬としても使われます。代表的な軟膏に中黄膏(ちゅうおうこう)があります。

黄芩・黄連・黄柏の性質はとてもよく似ています。どれも苦味があって熱を冷まし、余分な湿をとる働きがあります。「黄芩は上焦(じょうしょう)を治し、黄連は中焦(ちゅうしょう)を治し、黄柏は下焦(げしょう)を治す」と言われ、黄柏は下焦(下半身)の清熱に優れた効果を発揮します。特に腎や膀胱の湿熱を冷まし、黄疸・尿閉・尿の混濁・排尿痛・血便などに用いられます。

体に熱があまりなく、胃腸が弱い方への適応は不向きです。特に胃腸が冷えている方への長期間の使用は避けたほうがよいです。

黄柏は薬以外にも染料としても使われていました。媒染剤(ばいせんざい)なしで黄色に染めることができるのですが、日光に晒すとすぐに黃褐色に変化してしまいます。防虫作用を期待して、重要な書物である経典などの紙を染めるのに使われていました。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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