営実(えいじつ)

営実

基原

バラ科Rosaceaeのノイバラ Rosa multiflora Thunb. 又はその他近縁植物の偽果または果実

性味

酸、涼

帰経

肝・脾・肺・膀胱

効能・効果

①清熱解毒
②祛風活血
③利水消腫

特徴

ノイバラは北海道西南部から九州まで分布する高2mほどに伸びる落葉樹で、陽のあたる場所に多く自生しています。

バラ科は偽果が多く、営実の薬用部位も偽果になっています。偽果に該当するのはイチゴやリンゴ、ナシなどです。子房のみが発達成熟したものを真果といい、子房以外の花托や萼、花軸などが発達し、果実のようになったものを偽果といいます。ナシやリンゴの本当の果実は、真中にあって食べずに捨ててしまうタネや芯の部分であり、その周りは偽物の果実なのです。同じバラ科でもモモやウメは偽果を形成せず、真果と呼ばれています。

バラの果実はローズヒップと呼ばれ、品種によってはジャムやお茶として利用されています。ローズヒップの原料はドッグローズ(イヌバラ)がよく用いられており、日本には自生していないバラです。ローズヒップはビタミンCが豊富で、美肌や免疫力向上などの効果が期待できます。ノイバラを基原とする営実は、通常ローズヒップとして流通するものとは違って下剤の効果があるため、あまり使用しないほうがいいでしょう。

以前は基原植物の近縁植物としてテリハノイバラが認められていましたが、現在は市場に見られないため「日本薬局方(にほんやっきょくほう)」から除外され、ノイバラのみが登録されています。

民間療法として営実を煎じて利尿薬や下剤として服用していました。また、煎液で洗い冷湿布としておできやにきびなどに用いられました。

営実の同類生薬に、ナニワイバラの成熟果実を使用する金桜子(きんおうし)があります。ナニワイバラも日本に自生する野生のバラであり、使用部位も似ていますが、下痢止めの作用があり営実とは真逆の働きをします。金桜子の果実は紡錘形で大型なので、球形で小型の営実とは簡単に区別できます。

色が鮮やかで粒がそろい、果柄の少なく、小粒で無臭なものが良品であるとされています。

営実は現代中国ではあまり用いられません。日本でも漢方薬にはあまり配合されておらず、下剤としてとくに家庭薬原料として利用されています。下剤としては峻下剤(しゅんげざい)に分類され、内服すると腹痛や激しい下痢を引き起こすことがあるので、少量から用いる必要があります。

営実は「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に収載されています。上品とは不老長寿の薬であり、長期で服用しても問題ないものが該当するため、下剤である営実はやや当てはまらないように思われます。実際「神農本草経」には下剤としての効能は記されておらず、主として腫れ物の治療薬として記載されています。中国では営実としてヤマハナスを基原とした偽果が市場に出回ることがあります。やや大型で花托が肉質に肥厚した果実であり、瀉下作用はほとんどなく、解毒薬として悪瘡や打撲に用いられます。こちらの方がノイバラを基原とした営実よりも「神農本草経」に記された効能に近い印象を受けます。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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